第75話『忘れまじ O先輩』

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そんな中で一番忘れられないのは、僕が観光協会に入った翌年の那智湾で行われた花火大会当日の事であります。準備万端、那智湾の堤防の所に警備本部と運営本部を設置しその少し離れた堤防の所に机だけの花火打ち上げ指示場所をもうけ電話線にて運営本部と指示場所をつないでいた。そして那智湾に浮かぶ台船とのやり取りは、O先輩たちの商工会のスタッフと花火師さんとがトランシーバーで行うこととなっていた。僕のいる運営本部にも花火師さんとやり取りできる様トランシーバーを置いていた。その台船の花火師さん達に本番前にお弁当を連絡船で届ける時に、僕は、台船上の花火師さんに「Yさん、すいません、お弁当いくつ必要ですか」 とトランシーバーで訪ねた。「あ~、すいません、弁当200個お願いします。」とKさん。「えっ、200個ですか。」僕は本番前なので緊張しており、また、初めての運営本部担当と言うこともあり、冗談やいたずらと言うことは考えられんくらいの頭になっている。でも手元には弁当20個くらいしかない。しかしKさんは、弁当200個運んでほしいって言うている。どうしよう、今から弁当屋電話しよう。頭の中はパニックである。「え~、運営本部の吉野です。すいません、今手元に200個ありませんが、すぐ手配します。お待ちください」「わかりました。、出来るだけ早くしてください。早くね。あっははは。吉野くん、後ろ、後ろ」と聞こえた。僕は、後ろを振り返ったが、パニックってるのでまだ、だまされたことも理解できずにいた。しばらくしてそこにはトランシーバーを持ったO先輩達が爆笑しながら立っていた。片や僕は、顔面蒼白である。「ごめん、ごめん、こんなにうまく引っかかるときは思わなんだ。」とまだ、笑いながらO先輩は言った。しばらくして、冷静に考えたら、弁当200個なんてありえんし、トランシーバーはO先輩達も持っているので簡単に返答できるし。でも完全にやられた。それ以来僕の中では別の意味で鬼のO先
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