第1話 人間さんと仲良くなるのです!

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とある田舎のとある山奥。 忘れられた小さな山小屋。 「お父さん、お母さん、私、行ってくるのです」 父と母の遺影写真の前で小さな女の子が目を閉じて手を合わせていた。 写真の前には森で拾った小さな木の実が供えられている。 「人間さんは恐いと言うですが、きっといい人もいると思うのです。私、人間さんと仲良くなるために人里に行ってくるですよ」 女の子はすっと目を開けて父母の遺影写真に目を向ける。 その遺影写真に写っていたものとは…… なんと、蛇だった! 「蛇のお父さんお母さんから、なぜか私はツチノコとして生まれたです。それも人間さんにすごく近いこの姿で。きっと神様が人間さんと私達、未確認生物の橋渡しになれと言っているです。だから……ツチノコのノコ、行ってくるのですよ!」 キリッと表情を強張らせ、小さなツチノコの女の子、ノコは風呂敷でまとめられた、その身の丈には大きすぎる荷物を背負って立ち上がる。 「いざ、人間さんの住む人里へ! です!」 こうしてノコは亡き父母と暮らした大切な家を旅立ち、一路、人の住む町へと向かったのだった。 一度も山を出たことのないツチノコの女の子。まだ見ぬ人間の世界への期待と不安が入り交じる中、彼女は新たな出会いに向けて歩き出した。 人間の事を知ってからずっと夢だった「人間と仲良くなる」こと。果たしてこの先どんな出来事がノコを待ち受けているのだろうか。
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