二人とお出掛け

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「やっぱり松野先輩だ!」 「あの!結婚おめでとうございます!」 「えっと…?」 突然の出来事に、私はどう対応するべきなのかわからなかった。 私達のテーブルを通り過ぎようとしたであろう二、三人の女子高校生が、私を見てはしゃいでいた。 「椿、誰?」 佳奈さんが女子高校生を見ながら聞いてくる。 つくしさんもハンバーガーを食べながら、答えを求めるかのように私を見ている。 ……あっ!この制服…。 「もしかして…坂城の…。」 彼女達が身にまとっていたのは、私がかつて通っていた高校、坂城高校の制服だった。 正直嫌な記憶しかないため、あまり見たくなかった。 けれどどうやら彼女達は、私に会えたことが嬉しそうな様子だ。 「はい。その…料理部の…。」 「あっ。」 料理部と言われて、やっと私は彼女達を思い出した。 「よく私と組まされてた…。」 「そ、そんな!!」 「私達、松野先輩が転校してって…凄く悲しかったですよ!」 「……。」 「他の先輩達…松野先輩みたいに優しくないし…ほとんど私達に作らせたりして…。」 ……そういえばそんな所だったなぁ…。 私が所属していた料理部は約20人くらいの生徒が所属していた。 しかし真面目に活動しているのはほんのわずかで、その他の人達は遊んだりしていた。 そして酷いことに、あたかも自分が作ったかのように、友達や彼氏などにあげたりしていた。 言ってしまえば、坂城高校の大半はあの姉みたいな人達だ。 不良とまではいかないけど、性格はもの凄い悪かった。 ……私の料理も何度取られたことか…。 「椿。」 「あ、はい。」 つくしさんに袖を引かれる。 つくしさんは少しだけ心配そうな顔をしていた。 佳奈さんも、若干眉間にシワがよっている。 「坂城高校…聞いてたけどホント最悪だね。」 「つくしさん知ってたんですか?」 「まぁまぁ霧ヶ峰と近いでしょ?だからよく霧ヶ峰の生徒に媚び売ってる奴がいるんだよ。」 これを聞いて、なんとなく思った。 ……響さん…絶対媚び売られてた! 「そういえば松野先輩知ってます?」 「? 何をですか?」 「今松野先輩の…実家というか…。」 「…松野家ですか?」 「はい。」 「あの家がどうかしたんですか?」 「なんか…今大変らしいですよ。」 「大変?」 「何それ!聞きたい!」 「私も。」 ……二人共…。
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