エピローグ

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 この人が私を見るのと同じ気持ちで、私はこの人を見ることは出来ない。  それに、恭二と会っていた時のように、一緒にいたいと思ったり、姿を見たら話が出来るとワクワクしたり、そんな感情は持っていない。  だけど、この先は分からない。  とりあえず、今はもう少し淳たちと一緒に死者と関わっていく、それは受け入れることにした。  この忌まわしい耳も、少しは人の役に立つんだ、私にもやるべきことがあるんだ、そんな気持ちになれたのは嬉しかった。  そして、この耳のお陰で恭二と知り合って恋が出来た。  これが無ければ、恭二の存在自体に気付けなかったかもしれない。そう思うとゾッとする。  自分の心の中には、まだまだ恭二を好きになりたての恋心があって、相手が消えてしまったからといって、いきなりそれをもぎ取ることは出来なかった。  ずっと温めてもどうにもならない辛いだけの恋心だけど、今はもう少し大切に持っていたい。  初めて持った、大切な想いだから。  たとえ相手が死者であったとしても……。
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