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俺は1ヶ月前の豪雨の日に、人を車で跳ねてしまった。
あの日は、雨がひたすら凄くて、ワイパーを動かしても前が全然見えないところに、突然衝撃が襲いかかってきた。
慌ててブレーキを踏み、外に出ると、人が倒れていた。
ピクリとも動かない。
俺は怖くなって、その人を放って逃げ出した。
翌日、新聞に轢き逃げの記事が小さく載っていた。
あの雨が事故の痕跡を洗い流してくれたのか、いまだに警察の捜査は俺のところには迫っていない。
それが幸運なのか不運なのか、俺には分からなかった。
ただ、あれ以来、俺は車に乗るのが怖くて仕方ない。
事故を起こしたのなら当然だって?
いや、それだけじゃない。
だって、あれ以来、ルームミラーで見ると、車の後部座席には、知らない女が恨めしそうな顔をして、いつも座っているのだから……。
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