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お色直しの間に流されたスライドショー形式の二人の思い出ムービーは、私達が生まれた1985年の画像から始まった。
当時流行っていたチェッカーズ、スーパーマリオ、ゴーストバスターズやグレムリン、そしてウーパールーパー。ごちゃ混ぜな内容の上、そもそも生まれた年だからそんなの思い出でもなんでもないはずなのにと笑いそうになる。
だけどこれは、「この年に生まれて良かった。同級生で良かった。私達を同じ年に生んでくれた親に感謝している」と言っていた彩音らしいセレクトなのかもしれない。
大切な二人が結婚する。今日はそんなとてもとてもおめでたい日。
二人の結婚のことを知ったのはちょうど1年前。新婦であり大学時代の親友である彩音からの電話だった。
大学を卒業してからはそれほど頻繁に連絡を取ることはなくなったけど、お互いの誕生日にメールを送り合うことは毎年続いていた。
だけど去年の彩音の誕生日が例年と違ったのは、メールの返事が電話だったこと。今まで誕生日メールの返事はメールの返信だったのに、電話というのは初めてのことで、どうしたのだろうと不思議に思いながら通話ボタンを押し、会話をしていた。
『早苗、久しぶり。誕生日のメールありがとう』
「わざわざ電話なんてよかったのに。何かあったの?」
『うん。あのね、早苗には直接言いたくて。あの、私、結婚することになったの。今日プロポーズされたんだ』
「え、結婚? わぁ、おめでとう。相手はどんな人?」
『実はね……』
1年経った今でも鮮明に覚えている。あの時聞いた彩音の嬉しそうな声、そしてぎゅっと掴まれたような胸の痛み。私はそれを忘れることはないだろう。
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