7. 2人の帰り道 (成瀬)

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7. 2人の帰り道 (成瀬)

「店のこと、話してなくてごめん。」 帰り道。私は快斗くんに送ってもらうことになった。 快斗くんと私は自転車をひきながら歩いて帰っていた。 杏子はバス通学だから、徒歩通学の朝比奈くんがバス停まで送ってくれている。 あの2人、何か進展あるといいな。 杏子ちょっとぎこちなかったけど、大丈夫かな? 「全然大丈夫だよ!ちょっと驚いたけど。」 私は隣で歩く彼の顔を見た。 暗くて表情が良くわからない。 「最近母さんとちゃんと話せてないことあって。なんでかわかんないけど、うっとおしいって思っちゃうことがあるんだ。」 そういえば、試験週間で部活お休みなこともマキさん知らなかったって。 ちょっとさみしそうに言ってたな・・・。 思春期だから仕方がないわねって言ってたけど・・・。 「ねぇ、ちょっと寄り道していこうか?」 私は帰り道の陽向公園に彼を誘った。  この公園は海岸と繋がっている。 もうすぐ陽が沈むところで、きれいな夕焼けが海の上に浮かんでいた。 私たちは砂浜に座った。 「・・・あんな運命的な感じだったなんて初めて知った。」 彼は夕焼けを見ながらつぶやいた。 「あ、馴れ初めの話聞いてたんだ。」 「あぁ。父さんが独立して今のパン屋始める時に、母さん結婚したんだ。当時は独立がうまくいくかわからないのに結婚なんてって結構ばぁちゃんと揉めたらしい。」 「そうなんだ。」 私は暗くなってきた空を見上げた。
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