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3-4【R18】
せわしない手つきでネクタイは引き抜いたくせに、五十嵐はシャツのボタンをずべて外すと、恥じらう忍の顔を見ながら思わせぶりにゆっくりと前を開いた。こんなの勢いで脱がせてくれればいいのに、なんでわざと恥ずかしがるようにするんだ。
「あんまり見るなよ」
「この前は見る余裕なかったから、今日はちゃんと見たいんです」
「いつも朝迎えに来るとき、着替え見てるだろ」
もうおしゃべりは終わりとばかりに口づけられ、何度か角度を変えてキスを交わした。はじめは柔らかく触れ合わせていただけの舌を激しく絡め合わせていると、なんだか頭に紗がかかったようになる。
ぼんやりとしていると唇から顎先に、そして首筋へとキスが降りてゆき、五十嵐の頭が胸元まで降りてくる。左の胸の中心をぬるりと舐められ、ざわりとした快感とともにはっと我に返った。
「や! やだ」
「だめ」
ベッドの上の方へ這うように逃げようとする忍を追って五十嵐が背中から覆いかぶさってくる。羽交い絞めにされるように五十嵐の両腕が忍の身体に回ってきて、さっき舐められた胸の尖りを指で優しく捏ねられた。
「待って、やだ……」
「逃げないで。痛くはしないから」
「ん……や……」
いやじゃない。いやじゃないけど、「いや」と言っていないと変な声が出てしまいそうになるのだ。
この前五十嵐と触れ合ったときは、どこか現実離れしていて恥ずかしいと感じる間もなかった。改めてお互いの気持ちを伝えあった今、恥ずかしくて神経が焼ききれそうだ。それにこれからすることがわかっているから、どんな顔をしていいのかわからない。
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