白濱 薫

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 彼を見ているだけで幸せを感じた。  噂では地毛らしいサラサラの金髪、すらりと伸びた長い脚、手を伸ばせば、ふいとそっぽを向いてしまう気位の高いシャム猫のような人だった。  もしかしたら、恋愛感情とは違うのかもしれない……ただ、出来るだけ近くにいて話をしたい、そう思っていた。  高校を卒業した後は、大学のサークルの先輩や、バイト先の店長に誘われて、何人かと付き合ってみたけれど、ちょっと気になる事が目に付くと、だんだん嫌な気持ちが膨らんで行って、私の方から別れを告げると言う事が続いていた。  気が付けば、私は人に告白した事が無い。  誘われて付き合って、嫌になって私から別れる (これって本当に恋愛なのかしら……)  何か分らないけれど、本当はこうじゃいけないという声が、頭の隅にこびりついている、ずっと、そんな気がしていた。  こんな中途半端な気持ちから、いつか誰かが解放してくれる、そんな願望を抱えていた私の前に、その人は現れた。ある、猫とともに……。
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