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試乗車
最近どうにも車の調子が悪い。
もう二十年近く乗っている愛車だが、前回の車検もギリギリだった。下手に無理して故障し、それが元で事故を起こすよりはと、新しい車を買うことにした。
とはいえ、同じ車に十数年も乗っていたため、いきなり他の車を購入、はい今から愛車ですとは乗りこなせない。
ショールームや中古車屋を何件も巡り、気になる車は試乗させてもらうということ繰り返した。
そんな中、かなりドンピシャの車と巡り合った。
形は申し分ない。色も塗り替えなしで好み。値段も充分予算内。
これはいい。となると後は乗り心地だな。
店の人に申し出ると、快く試乗を受け入れてくれた。
何回か試乗していて慣れつつあるけれど、古い車と違って最近のは、まず鍵穴がない。シフトレバーやサイドブレーキの位置も違う。
この車も最近タイプのものだ。でも、このタイプに何回か乗ったたせいか、もう違和感はなかった。いや、それ以前に妙に何もかもが馴染んだ。
ハンドルの切り心地、加速や減速の具合、運転席の座り心地まであつらえたように俺に向いている。
これはいいなぁ。
こいつでほぼ決まりだ。
近くを一周する間に購入を決意し、俺は、店に戻るなり店主にそのことを切り出し…の前に。
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