1.真っ白なキャンバス

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まるで自分の分身のような彼に、俺は無性にイライラして。 俺は生まれて初めて人を怒鳴ったんだ。 『男のクセにめそめそ泣くなよ!』って。 それは自分への言葉でもあったんだけど…。 それから俺たちは、残りの夏休みを毎日2人で過ごすことになった。 海へ行ったり、花火をしたり、冒険をしたりー。 本当に毎日が楽しかった。 毎日が宝物だった。 あんなに笑うことは多分もうないと思う。 それは俺の中にある唯一の"友達"との思い出。 ひと夏の大切な思い出なんだ。 それ以来、キョウヘイとは会うことは二度となかったけどー。 「まあ綾乃も人間嫌いだけどね!」 「…」 「本当に信用できるの、世界に1人だけだもん」 「?」 1人だけって? 俺はその1人すらいないんだよ。 「何だか似てるね。綾乃と海斗」 「…そう?」 1人上機嫌な綾乃を横目に、俺はスケッチブックを閉じる。 やっぱり苦手だ、この子。 どこが似てる? 俺とは全く違う世界にいるような人間じゃないか。 自信満々で、自分大好き人間。 綾乃は色んな人に愛されて生きてきた顔をしてる。 確かに学校では誰ともつるまない"一匹狼"かもしれない。 だけど、それは恐らく自分から人を遠ざけてるだけ。 …俺とは違う。
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