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「何か少しでも食べられる物があったら、戻してでも口に入れないと…」
そんな事は分かってる
口からそんな言葉が出そうだったが実際に吐き出たのは、先ほど少し喉を潤した麦茶だった
「うぇ」
平野美優はゴミ箱を抱えながらしばらく顔を突っ込んでいた
妊娠
まだ、人の形にすらならない状態の胎児の姿を目にした数日後、今までに経験した事のない
気分の悪さに襲われた
「あなたのお母さんも、悪阻酷かったからねぇ
美優ちゃん、大変だろうけど悪阻があるってのは、赤ちゃんが存在してるって事だし、産まれたら治まるから
悪い病気とかじゃないからね」
叔母の浅野真理はそう言いながら美優を諭した
「いや、私は産んでないから悪阻なんてわかんないんだけどね」
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