小さなぬくもり

2/7
6人が本棚に入れています
本棚に追加
/7ページ
「何か少しでも食べられる物があったら、戻してでも口に入れないと…」 そんな事は分かってる 口からそんな言葉が出そうだったが実際に吐き出たのは、先ほど少し喉を潤した麦茶だった 「うぇ」 平野美優はゴミ箱を抱えながらしばらく顔を突っ込んでいた 妊娠 まだ、人の形にすらならない状態の胎児の姿を目にした数日後、今までに経験した事のない 気分の悪さに襲われた 「あなたのお母さんも、悪阻酷かったからねぇ 美優ちゃん、大変だろうけど悪阻があるってのは、赤ちゃんが存在してるって事だし、産まれたら治まるから 悪い病気とかじゃないからね」 叔母の浅野真理はそう言いながら美優を諭した 「いや、私は産んでないから悪阻なんてわかんないんだけどね」
/7ページ

最初のコメントを投稿しよう!