愛して、先生 ~壊れた欠片

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「・・・座りました」 『ありがとうございます。・・・思い出しますね』 「思い出す?」 『そのソファで、愛し合ったこと』 このソファで・・・ 『堀江先生、すごく淫らで・・・可愛かった』 「な・・・っ」 『俺にしか見せない、俺だけの・・・堀江先生』 うっとりしたような声が、耳を犯す。 離れているのに、その熱い吐息に触れられそうで、 身体が震えた。 『・・・っ、ヤバい、俺・・・ダメかも』 「・・・・・・?」 『堀江先生・・・』 もう一度、口付けの音。 「っん、・・・く」 本当にされたかのような錯覚に陥って、身を竦める。 俺が漏らした声を、藤原は聞き逃さなかった。 『ふふ・・・、今の、よかったですか?』 「な・・・なんのことですか?私は別に・・・」 『そうですか、なら、堀江先生が良くなるまで・・・んっ、キス、する』 電話の向こうの、甘い音。 「な、何を言っているんです?離れているのに、キスなんて」 『できますよ。現に堀江先生・・・身体、熱いでしょ?』 「べ・・・別に」 嘘だ。 音がするたび、藤原が吐息を漏らすたび、 身体の奥がドクンと脈打つ。 「・・・ん」 何度も藤原と交わった身体は、 離れていても、こいつを覚えている。 匂い。 感触。 熱さ。     
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