愛して、先生 ~解けた欠片

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その手は、家に着くまでしっかりと繋がれていた。 中に入ると、自然と手が離れる。 俺は先に靴を脱いで上がり、照明を点ける。 そしてコートを脱いだとき、 照明が、消えた。 「・・・なんの悪戯ですか?」 スイッチの側には藤原がいる。 俺は再び点けようと、近づいていった。 「――堀江先生」 呼ばれた、と思った次の瞬間、 俺は藤原の腕の中にいた。 「・・・堀江先生、自分のしたこと、わかってます?」 自分のしたこと・・・? それを諌める気か。 「教師を辞めようとしたこと、ですか?」 「違う」 「宇佐美をかばったこと、ですか?」 「全然違う」 「・・・あなたをトイレに誘い込んだことですか?」 「それは全然いいんです!そうじゃなくて」 いきなり、肩を掴まれて剥がされたかと思うと、 手で頬を挟まれた。 「生徒たちに、泣き顔見せたでしょ!」 「な・・・泣き顔?」 「それだけじゃない。生徒たちに裸も見せましたよね」 「そ、それは・・・仕方なく」 「もしあいつらが行くのが遅れていたら、宇佐美に全裸、見せてましたよね」 真剣な顔で俺に詰め寄る藤原。 結局、何が言いたいのだろうか。 もしかして・・・ 「申し訳ありません」 「そう、わかればいいんです」     
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