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頬を打つ水滴に、無意識に口を開けた。 からからの喉を湿らせて雨雲が去ったあと、上総(かずさ)はゆっくりまぶたを上げて、のろのろと上体を起こした。 姿を現した太陽が、ぐっしょり濡れた髪と服をあっという間に乾かしていく。その強烈な光に手をかざして辺りを見回す。 ここはどこだろう。 青空の下に広がる草原。潮の香りがする風に、緑の波が立っている。 甲高い鳴き声に視線を転じれば、やや離れたところに穴がボコボコ開いている。鳥が出入りしている。どうやら巣穴らしい。 上総はぱぁっと目を輝かせた。 上総は鳥が好きだ。いや、鳥だけでなく動物全般が好きだ。小学生のころは皆がやりたがらない飼育係をすすんでやっていた。 できることなら家でペットを飼いたい。だが動物嫌いな義母にダメだと言われている。 義母の顔を思い浮かべた瞬間、頭の中にスパークが弾けた。 目覚める前の記憶が、一気に溢れ出す――
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