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プロローグ
午後二時二十一分。
幼い少女は息を潜め、駅の構内に設置されたゴミ箱の影に隠れた。
構内の隅、人目につきそうもないゴミ箱の影。
彼女は荒い息を無理矢理抑えようと両手で口元を塞いだ。
血管の波打つ音が耳の中に響いて痛い。
柔らかなフリルがついた白いスカートの裾を汚れた床に擦りつつ、彼女はその場を動かなかった。
「残念だったねー」
不意に聞えてきたのはヒールの音と女性の声。
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