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「うそ、やばい」
携帯のスヌーズ音で飛び起きて、携帯を見て呆然とした。
六時半を示している。いつもなら全然遅刻ではない。
着替えてそのまま幼稚園へ向かえば七時には余裕で間に合う。
が、今は幼稚園の裏の実家には住んでいないのだ。
今から用意して出たら七時。登板は七時遅くても15分には鍵を開けなければ半には子供がぽつぽつと来てしまう。
「わわわわ、信じらんない。歩いたら遅刻、走っても遅刻、タクシーだ!」
着替えてエレベーターを待ちながら、携帯でタクシー会社の電話番号を探す。
「てめ、なんで携帯のアラーム全部消してるんだよ!ありえねえ」
「ごめんね。今日は遅くなるから義仲頼むよ」
「俺も八時か朝会議だって」
「頑張ってね。夜はからあげがいいな」
「くそじじい!」
バタバタと二つの足音が聞こえてくるけれど、きっと気のせいだ。うん。
「ああ、先生、おはようございます」
気のせいじゃなかった。
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