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「桔平と別れるのだけは嫌。だからいいよ、このままで」
「でも無理はさせたくない」
「無理してでも一緒にいたいの。だって桔平は、私の初めての人だから」
「………そうか…そうだったよな……イチゴ…」
彼はベッドに腰掛けて、私を抱き寄せた。
髪に心地よさを感じ、肌が温もりを感じる。
彼の匂いも私にとっては安定剤。
酔っててあまり覚えてなくても、眞島さんとのことは事故みたいなもの。
あの人に、こんな感情が芽生えることは絶対にない。
他の誰にも。
「まだ頭痛いか?」
優しい声に戻ってる。
「痛いよ」
「嫌な話をしたから余計か」
「そんなことないけど」
「薬と水を持ってくる。それを飲んだらシャワーを浴びろ。スッキリするから」
「うん、そうする。ありがと」
桔平の精一杯の愛情を手離したら、きっと私はこの先、生きては行けない。
だから私は、心の繋がりを信じる。
全力で。
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