いつでもとなり

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   「ほんま? わかってくれて僕もうれしい!」  二人は鏡に映った対のように同時に頷きあった。  幸か不幸か売れっ子芸能人、物心ついてからのクリスマスはいつだって仕事だ。勿論、一般人には手の届かないような豪華なパーティーにも呼ばれるが、それはあくまで仕事であってプライベートはカッサカサの潤い知らずだったのである。 「藍野さんも頑張ってな。今度こそ仲良うなれるとええな」 「ありがと、ハナちゃんも理想のクリパ、実現できるといいね!」 「今年のクリスマス、お互いに幸せになろうや」 「うん!」 二人は意気投合し、さらに友情を深めた。  電話を切り、ハナは夢を現実のものにするべく、スマホで佐崎から送られてきたスケジュールを確認する。  ようし。大丈夫。  ハナが二人のクリスマスを夢見たのには理由がある。なんと二十四日が休みだったのだ。こんなことは芸能界に入って以来、初めてのことだった。  ハナはこれを聖夜の奇跡と思っているが、実際は家族でクリスマスを楽しみたい佐崎が、スケジュールを調整しまくってオフにしただけの事である。 「な、ヒロ」 「んー、なんやー」 思い切って声をかける。  ヒロはドバトの着ぐるみの手入れをしていた。大事な宝物であるから、オイリーからこの着ぐるみを頂戴してからというもの、毎日ブラッシングをかかさない。中に入って動くと汗まみれになるので、夜は風通しのよいところで陰干しする。消臭剤は華やかなフラワーローズの香り。ヒロが持っている服の中でもこれほど大切にされているものはない。  しかし、ベランダの物干し竿に等身大の鳥の抜け殻が、ぐったりぶらさがっている姿は明らかに不気味で、うっかり目撃した子供が泣きだしたほどだ。
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