14 幸せの死角

13/15
913人が本棚に入れています
本棚に追加
/339ページ
「ヴィヴィ」  後ろから激しく突きながら、彼はヴィヴィアンの髪を一束掬うと、中指に巻き付けた。  彼がそれを軽く後ろへ引っ張ると、ヴィヴィアンは顎を突き出した、苦しい格好にさせられた。  その耳をそっと唇に食みながら、彼は切なげに問いかける。 「何で…アイツを庇うんだよ」  え? 「な、何のこと…あ、ああっ」  反問の隙さえ与えない。彼は、ヴィヴィの髪を更に引き上げ、腰をぐっと押し付けた。  「く…ふぅ」  苦しそうに呻いたヴィヴィに、彼はさらに問う。   「長い髪が好きだったのに…なんで俺に切らせた」  ハッとしたヴィヴィ。  ああ、そうか。あのとき私がレオハルトを… 「ラ…ルスさ、ゴメ…あああっ」 あの時は意識が朦朧としていて、自分では全く覚えてなくて…後から全部マダムに教えてもらった。だから私は_  頭の中に、いくつもの言い訳を思い浮かべながらも、ヴィヴィには何も言えなかった。  繋がったままで、激しく腰を動かされていることも1つにはあるが。  荒ぶる彼が、まるで泣いているようで_
/339ページ

最初のコメントを投稿しよう!