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僕の夢
「わたしの夢は、ケーキやさんになることです」
斜め前の席のそのひとつ前の席に立っているミチコちゃんの、普段より少しだけ高くてよそ行きな声が教室内に響く。
ケーキやさんになりたい理由を恥ずかしそうに、けれど誇らしそうに話すミチコちゃんを、先生がにこにこして見ていた。
ミチコちゃんが話し終わると、先生が立ち上がって大きな声でみんなに言った。
「ミチコちゃん、ありがとう。素敵な夢ね。みんな、ミチコちゃんに拍手!」
ぱちぱちぱち、とまばらな拍手がミチコちゃんを囲む。
ミチコちゃんは首をすくめて、耳を真っ赤に染めていた。
「それじゃあ、次はアケミちゃんね。さ、立って立って」
先生に言われるまま、もじもじしながらミチコちゃんの後ろの席のアケミちゃんが立ち上がる。
そして、ミチコちゃん同様自分の夢をクラスメイトに語り始めた。
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