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都下にあるその広い公園は、一日遊ぶには充分過ぎるほどの広さで、四季の花々を楽しんだり、芝の上で遊んだり、アスレチックがあったりと都民の憩いの場だ。
駐車場も広く、様々な所から来るが大体が都内に住む人間が遊びに来ていた。
「ここでいいかしら?」
「いいよ。今日はここでピクニックね!」
「凜乃の好きなもの、沢山お弁当に入れてきたから」
「うん、ありがとう!」
凜乃は母親の真美子に向かって言った。
今日は凜乃の五歳の誕生日で、母親とふたり、日ごろの忙しい日々を忘れようとピクニックに来ていた。
凜乃が父親がいないと理解出来たのは三歳くらいだろうか。
公園に来る度に真美子と二人きりだということに、自分は周りとは違うんだとジワジワと思い知らされた。
でも、もしかしたら勘違いかもしれないと黙って生活を送り、真美子に問うこともなかった。
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