三国志島介の志編(180年代

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「そんなものは言わせておけ。俺は自分の正義を貫くまで。留守中の城の守りは例の備えを行い、住民から五百を動員させろ」  言っても最早変わらないだろうと、文聘も承知した。二人が手配の為に部屋を出ても典偉はその場に残る。 「典偉、お前は今回の戦いで使えそうな兵に片っ端から声をかけて引け。部隊には核となる者が必要だ」 「わかった!」  こいつはこれでいいさ。さて、久しぶりのお仕事だな、給料分くらいは働かないとバチがあたる。 ◇    西陵から陸安を経由して、新南へ到達するにはかなりの時間を要する。良くて七日、悪くて十日はかかる、それもこれも軍の練度が低いのと道が整備されているかどうかが大きい。  荊州内だからまだマシとは言っても、やはり道が貧弱で足が鈍る。補給部隊にも護衛を割かねばならないし、先行して偵察をする必要もある。でだ、偵察部隊は張遼に任せることにした。二百を先行させる、更に伝令として騎馬で集落などに飲料水だけでも準備するようにさせた。この頃ようやく徐刺史から新南への援軍を行うように命令が届く。  本陣は俺が率いて、補給部隊の護衛は典偉に任せている。つまりは文聘だけが傍に残っている状態だった。千五百の州兵位なら一人で充分指揮出来るから心配はしていないぞ。驚かれたのは補給部隊に五百も割いたことだが、これを失ったら困るではすまんからね。  新南南東半日の距離に到達したときに、張遼が少数と戻って来る。 「報告します。新南を包囲している賊は総勢五千、『張』の旗と『甲子』を掲げていました」 「今後何度もその甲子ってのを見かけることになるだろうな」
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