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◇
朝露が滴り重みに耐えきれなくなった葉がしなる。雫が落ちて頬を濡らした。
何だってまた外に転がってるんだか。やれやれだ。
覚醒して目を開くと葉っぱと空が視界に入った、少し首を捻ってみると野原だってことが解る。
ぽつんとひとりぼっち、見たことが無い景色だ。近所ってことはないだろことだけは解った。
上半身だけ起き上がって自分を確認してみる。ゆったりとした布の服、下は同じ素材のズボンだ。
随分と慎ましやかな衣服だな、旅館の部屋着じゃかいかって疑ってるよ。
手にしている銀色に光る金属、四角で模様が刻印されている。文字なのかもしれない。
これを手にしている理由……まあなんでもいいか。さて、どうしたものかな。
立ち上がり体をほぐす。たっただけでは何も解りはしない。
水たまりか、どれ。覗き込んでみると、二十代後半くらいだろう顔が映っている。これが自分か、若いな。
取り敢えず歩いてみるか。
あてもなく丘へと登る、近づくにつれ物音が耳にはいるような気がしてきた。丘の向こうに誰かが居るのだろう。
上までやって来て右手で後頭部をさする。
「参ったな、これは専門外だ」
石を積み上げて土を固めたであろう壁、長大な城壁という奴が見える。それを囲んで攻撃している兵士と、城壁で防戦している兵士。
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