ここは猫町3番地

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 お釣りを渡しかけた琳は、一瞬、止まり、チラとこちらを見たあとで、小柴に訊いていた。 「あ、あのー、小柴さんの奥さんって、この店に来られたこと、ありましたっけ?」  すると、小柴はさっきまで座っていた席を振り返りながら言う。 「え? 妻はいつも来てるじゃないですか、一緒に」  そこで、書留でーす、と郵便局員が入ってきた。 「あ、じゃあ、また」 と、にこやかに去って行く小柴を見送ったあとで、琳は、ポン、と書留にハンコを押していた。  龍哉が呟く。 「ミステリーだね」 「ホラーだろ……」 と将生は言った。 「死体見つけるより、この店の中で起こってることの方がよっぽど怖いじゃないか」  そのとき、店の扉が勢い良く開いた。
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