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お釣りを渡しかけた琳は、一瞬、止まり、チラとこちらを見たあとで、小柴に訊いていた。
「あ、あのー、小柴さんの奥さんって、この店に来られたこと、ありましたっけ?」
すると、小柴はさっきまで座っていた席を振り返りながら言う。
「え? 妻はいつも来てるじゃないですか、一緒に」
そこで、書留でーす、と郵便局員が入ってきた。
「あ、じゃあ、また」
と、にこやかに去って行く小柴を見送ったあとで、琳は、ポン、と書留にハンコを押していた。
龍哉が呟く。
「ミステリーだね」
「ホラーだろ……」
と将生は言った。
「死体見つけるより、この店の中で起こってることの方がよっぽど怖いじゃないか」
そのとき、店の扉が勢い良く開いた。
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