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「四季」
綾人の親指が、俺のふたつ並んだ涙ぼくろを撫でる。綾人に会ってから、そこはまさに『涙』ぼくろで、何回も泣かされた。
だけど今は、哀しみではなく嬉しさに涙が止まらない。
「キスしてくれ。誓いのキスだ」
俺は濡れた瞳で綾人を見上げ、項に手を回し背伸びして唇を押し当てた。
「四季、愛している」
「俺も……愛してる」
頬が燃えるように熱かったけど、綾人のサプライズが嬉しくて、俺も小さな声で応えた。
門限までにキッチリ家へ送り届けてくれた綾人に礼を言い、俺たちは名残惜しく手を握り合って別れる。
幸せ過ぎて、何か忘れてる事には気付かなかった。
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