第42話 サプライズ

4/4
1506人が本棚に入れています
本棚に追加
/166ページ
「四季」  綾人の親指が、俺のふたつ並んだ涙ぼくろを撫でる。綾人に会ってから、そこはまさに『涙』ぼくろで、何回も泣かされた。  だけど今は、哀しみではなく嬉しさに涙が止まらない。 「キスしてくれ。誓いのキスだ」  俺は濡れた瞳で綾人を見上げ、項に手を回し背伸びして唇を押し当てた。 「四季、愛している」 「俺も……愛してる」  頬が燃えるように熱かったけど、綾人のサプライズが嬉しくて、俺も小さな声で応えた。  門限までにキッチリ家へ送り届けてくれた綾人に礼を言い、俺たちは名残惜しく手を握り合って別れる。  幸せ過ぎて、何か忘れてる事には気付かなかった。
/166ページ

最初のコメントを投稿しよう!