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そこにあるのは背徳感と、羞恥心と、興奮だ。
「……ッ」
息を殺して、自身の湧き上がる熱をなんとかやり過ごそうと視線を泳がせると、目の前のスマホに目が止まった。
映し出される画面に色はなく、ただ「秋葉京介 通話中」と表示されている。
『…ん、あァ……ああ、あんっ』
そこから漏れる声は可憐で、無防備で、あられもない。
聞かれている事を知らないのだ。その事実にまた少しの罪悪感が首をもたげる。
『ん……、ほら、もっとイイ声出してよ……ほら』
今度は聞きなれた声が響く。息が上がって、ベッドが軋む。布擦れの音も一層増える。
『やァ……きょ、すけ…』
『ココがいいんだろ? ほら、……音、聞こえる? ……やらし…、ふふ』
自分に言われているわけでもないのに、中心はそれでも猛り、ドクンと跳ねた。
(おかしい。おかしい)
こんなの間違ってる。陰険で、不誠実だ。非道徳的で、どうかしている。
そんなことを何度もくり返し思うけれど、スマホから聞こえてくる嬌声と、満足げに息を上げる彼の声にまた、何度目かもわからない絶頂を求め、手を伸ばしてしまうのだ。
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