第1章 小動物は対象外

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俺の力ない抵抗をものともせず、奴はぐい、と肩に手をかけて身体の向きを変えて仰向かせようとする。朝の光が眩しい。目をぎゅっと固くつぶってその刺激を脳に伝えまいと頑張るけど。 そんな意識があること自体、実際にはもう覚醒しちゃってる何よりの証拠かも…。 「子どもみたいな文句言わないの。感謝しろとは言わないからさ、今更。だけど用意されたものくらい大人しく食べなよ。せっかく早起きして作ったんだから。リュウの好きなじゃがいもと玉ねぎの味噌汁だよ。ご飯のお供にたらこも補充しといたし」 俺の口から恩知らずな呟きが思わず漏れる。 「…押しつけがましいなぁ、…いつもながら…」 普通に考えたら激怒されてもしょうがないもの言いだけど。完全に普段の俺の言動に慣れきってる眞名実はこのくらいじゃ毛ほども動じない。平然と言い返してきた。…こいつも歳とともに心臓強くなってきてるな。 「昨夜遅くまで研究室にこもってたから、朝起きられるかどうか自信がないって連絡してきたのは自分でしょ。どんな起こされ方したってそこは注文つける立場でもないじゃん。…そだ、もし何ならさ」 何故か声がふわっと近くなる。背中があったかい。不本意にもぞくっとして一瞬で目が覚めた。…おい、こら。 なけなしの胸が当たってるだろうが!     
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