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閉店した店ばかりを気にしていたから。
失った過去ばかりを思い返していたから。
私はぼんやりと、その暖かな日差しを見つめていた。
……いいだろうか。
この店を好きだと言っても。
あの人を、好きだと言っても。いいのだろうか。
「……マスター。私、またこのお店に来てもいいですか?」
そう言うと、マスターは大きく頷いた。
「もちろん。……人も、お店も、確かにいつかは別れが来るかもしれない。でも、なんでもかんでも自分のせいだなんて思っちゃいけない。僕は茜ちゃんが好きなこの喫茶店を、長く守ってみせるよ」
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