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街のはずれに、あたしの店はある。
物置のような、小さな小さな古い建物。
玄関では『クレアーレ商会』の文字の刻まれた金属板が揺れている。
「ご、ごめんください。僕は駆け出しの魔法鍛冶師でウォラーレと言います。鑑定をお願いしたくて……」
黒髪の、まだ若い男が、緊張した面持ちであたしの前に立った。
「わかったわ。そうね。魔銀の短剣。灯火付加、ウォラーレ作。号はないけど、とても良い出来だわ。いずれは誰かがあなたの作品に号をつけてくれると思う。ウォラーレ、あなたのこの作品、あたしの店に置かせて下さい。決められた手数料は差し引いて、3金貨で買い取ります」
ウォラーレの顔がパッと明るくなった。
「ありがとうございます!!正直、僕は無名過ぎて……他の店では相手にもされなかったんです。誰かのお役に立てればと思ってるんだけど。また何かが出来たら、持って来ても良いでしょうか?」
「もちろんよ」
ウォラーレの黒髪が弾む足取りに合わせて跳ねた。
勢い良く開けた扉から、柔らかで涼しい風が吹き込んできた。
新しい季節は始まったばかりだ。
【完】
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