恋愛婚シェルジュ

Act.4

しかし問題は私と島川さんが同じコーポ、そのうえ同じフロアに住むというこの現実だ。

ついさっき、湊さんに私は言い放ったばかりなのに。

上司と部下が同じコーポに住むのは誤解の元だと。

いくら湊さんが「気にするな」とおっしゃっても、やはりこれはマズイ気がする。

かと言って、引き出しから取り出した貯金通帳を開いて見ても引っ越しする余裕などあるはずもなく。

「……うん。誤解されないように私がしっかりすれば大丈夫」

そう言い聞かせて、私は着替えを始めた。

しっかりと制服にくっついていた、ちぐらの毛をエチケットブラシで取り除きながら小さく笑う。

きっと今頃、湊さんもどこぞやのビジネスホテルできなこの毛を取り除いているのだろう。