エピローグ

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ドーナツよりも甘そうな微笑みは意地悪。 指の間についた砂糖まできれいに舐め取る。 「ひゃんっ」 恥ずかしさに慌てて指を引っ込めようとしたのを彼は離さない。 食べてからのその一言に……更に私は真っ赤になる。 「……アリだな。滅っ茶いやらしいぞ、これ。ほらお前も食いたいだろ?」 彼の小指の先に引っ掛けただけの指輪ドーナツ。 それをずいっと私の唇に押し当てた。 「いやらしく食べて」 「……バカ」 恥ずかしくって彼の目も見れず瞼を伏せながら口を開ける。 反抗心から大きな口を開けて一口で食べると「砂糖も舐めて」とにやにやした彼が指を差し出す。 「……バカ」 そう言いながらも彼の小指を口に含む私。今のその行為と自分が企画したスイーツのいやらしさに、穴があったら入りたいとそう思った。 ドーナツなだけに……。 了
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