ヴェルフ・アロウ

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 まあ、確かにそうだな。レネのため、か。レネ=レネメスともとれるな。 「俺もレネだ」そうなんだよなー。レネオラもレネなんだよなー非公式とはいえレネなんだよなー。 「私の意思を尊重してください! 言いますけどお兄様はレネではないもの!」 「なっおま……」 「私の意思を尊重すべきです! 日頃レネメス様レネメス様とおっしゃるなら、私の意思を尊重するべきです!」  レネメスがこんなにも激しく肩を震わせ叫ぶことにレイアーは驚いているのか、呆けた顔を見せている。 「私はお兄様を殺したくない! レネも別に欲しいとは思わない! だったら……だったら! もうお兄様で……」  いいじゃないですか……最後はそう呟いた。 「誰か……誰か記憶操術師(メモリーズマンサー)が…」  記憶操術師。なんだそれ、そんな職業今までに一回も聞いたことないしそんなのねぇだろと私も思っていたのだがある。そして現に私はそれに変身ができる。  記憶操術師というのは、そうだ、覚えているだろうか。『記憶を探る(メモリーズ・エクスプロー)』。それを含めてとりあえず人の記憶をいじるような能力は『記憶術』というふうに世間は分類しているようで、それを自在に操る輩のことだ。まるで今さっき作ったみたいな感じだろう? 断じて違う。職として認められている。ただ世間的にその職だと名乗る人は少ないし、何より記憶術がそんなにメジャーではない。だからえ? 何それ、聞きなれないわぁ、と言った感じになるのである。  まあ、確かにそうだ。レネオラの記憶の、レネの技術の部分を切り取ればいい。そして尚且つ、レネメスに貼り付けることが出来たら……そう、『記憶の複写貼付(メモリーズ・コピペ)』ができる人がいれば(とっさにコピペでダサいなとか思うかもしれないがそれは世界初☆記憶術を使った人に聞いてくれ。きっとその人はコピーアンドペーストといちいち言ってらんねぇと思ってコピペと略したんだと思うよ)!  ところが! なんとみんなは知らないだろうがみんなが求めた『記憶操術師』はここにいるんだなぁ、気付かないかなぁみんな。私は冒険者だけどそれにもなれるよォ。まあ、そんなことは公表しないがね。  だから私はそっとソフィンに近付いた。
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