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俺の事をからかう奴らを片っ端から殴っていってたら、小学校高学年になる頃には、もう誰も俺をからかうような無謀な事をする奴は居なくなった。
そんな俺が六年生になったある日、隣にそいつらが引っ越してきた。
当然そいつらは俺と同じ学校に転入てきて、兄の方は俺と同じクラスになった。
そして、俺の事をよく知らない転入生は
「春日紅介? これ、お前の名前?」
と、俺がせっかく親切に貸してやった教科書に書いてる名前を見て、ぼそりと言いやがった。
久しぶりに、かちんと来た。
(こいつもボコボコにしてやる!)
瞬時に思ったが、さすがに授業中はまずい。
当時は、短気で名を馳せた俺だったけど、小六になってそういう分別はなんとかついた。
担任の田中先生も、
「暴力は、憎しみしか生まないぞ。春日」
と、しょっぱい事を言ってた。
とりあえず、いつもの鉄拳制裁は担任の目の前でヤっちゃダメだろう。
俺は机の下で握り締めた拳をほどき、深呼吸して猛る気持ちをなんとか宥め、その場をかろうじて凌いだ。
さて、待ちかねた放課後。
隣に住んでいるのだから、当然帰り道は同じ。
さあ、人気もほとんどなくなった路地に来た。
いざ、フルボッコターイム!
「お前、さっきはよくも俺の名前をバカにしたな?!」
と、宣戦布告。
そしたら
「なんだよ。いい名前だなって思って言ったんだぞ」
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