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また高身長が有利にもたらす運動神経の良さ。高校時代には、色んな運動部から引っ張りだこだった。
密かに憧れる女子も多いのを、俺は知っている。
だから、もっと自信持てばいいのにと思う。
だが、立冬の災難は一つ年上の夏生が、これまた立冬に輪をかけて凄い奴だったってことだろう。
ありとあらゆる才能に秀で、それを自慢することもなく、明るく誰にでも優しい。
夏生は、運動部ばかりか文化部にも引っ張りだこだった。
結局、生徒会会長におさまって、部活はしなかったんだけど。
そんな化け物みたいな凄い兄貴が居たんじゃ、自信もてないっていうのも分かる。
だから、こいつは何をするにも控えめ。
先走って何かをするという事がない。
大体、兄貴の夏生が立冬よりも先に色々やっちまう。
だから、立冬はいつでもゆっくりマイペース。
それでも、全然困ることはなかった。
とりあえず兄貴が失敗だろうと成功だろうと何でもやっちまうもんだから、立冬は急いでする必要はない。
成功ならそれを真似て、あるいは夏生の失敗を見て、自分の行動を慎重に進めるようになった。
どちらかというと俺も、あまり深く考えずにぽんぽんものを言う性格だったから、立冬の慎重さは貴重だと思った。
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