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《メリーさんの電話》という都市伝説をご存じだろうか?
ある少女が、引っ越しの際に人形を捨てた。
外国製の人形で、わざわざメリーという名前まで付けて大事にしていたが、友達から古臭いと馬鹿にされたことで愛情が薄れてしまい、親に駄々をこねて流行りの人形を買ってもらったので要らなくなり、だから捨てたのだ……。
それから数日後の夜、急遽通夜に出ることになったので喪服を届けてほしい、と父から連絡があって母が家を空けた。
留守番をすることになった少女は、独りの心細さを誤魔化そうと音量を大きくしたテレビを観ていたのだが、そこへ電話が掛かってきた。
母かもしれないと急いで出るも、違った。相手は女の子だった。
「あたし、メリーさん。いま、ゴミ捨て場にいるの……」
どちら様ですか?
と、たずねるまもなく、電話は切れてしまった。
誰だったのだろう? 間違い電話かな? それともイタズラ……?
少女は小首を傾げながらリビングに戻ろうとするのだが、また電話が掛かってきた。
「あたし、メリーさん。いま、タバコ屋さんの角にいるの……」
出ると同じ相手で、それだけを言うと、またすぐに電話を切ってしまう。
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