91人が本棚に入れています
本棚に追加
/196ページ
「そうではない。――兄者と対等のようにふるまっても、かまわないのかと聞いているんだ」
「だ、そうだ。トヨホギはどう思う」
「私たちはずっと、そうやってきたじゃない。それが王位を継いだとかなんだとかで変わってしまうほうが、妙な感じがするわ」
「我もおなじ意見だ」
ふたりの笑みに、シキタカはなんともいえない顔になった。
「どうもふたりに遊ばれている気がするな」
「気のせいだ」
「気のせいよ」
そろって笑ったふたりに、シキタカはますます妙な顔つきになった。
「だが、まあ……、ふたりも民もそれで納得をしているというのなら、俺としてもありがたい。これまでのようにさせてもらうぞ、兄者、トヨホギ」
「ああ」
ホスセリの返事に合わせてトヨホギがうなずく。それを見て、シキタカは照れくさそうに頬を掻いた。
「正直なところ、臣下の礼とかそういうものは苦手なので、助かる」
軽やかな笑いが三人の唇からこぼれ出た。
「私、ふたりの妻として、きっちりとそれぞれの子どもを授かりますからね」
胸をそらしたトヨホギに、どういうことかとシキタカが首をかしげた。
「それは我とシキタカの子を、という意味なのか。それとも、我とシキタカそれぞれの子を産むと言っているのか」
ホスセリが問うと、トヨホギはくすぐったそうに笑った。
最初のコメントを投稿しよう！