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それはまるで、果夏からのプロポーズのようだった
。
「もう二度と……離さないから覚悟して」
彼女の体を強く抱きしめ、それから今度は神様ではなく、彼女へと誓いのキスをした。
*
「モデルハウスみたいだなあ。つか、既視感凄いんだけど」
「ああ、多分大学の学祭で展示してたミニチュアのモデルハウスと配置が似てるからじゃないか? それよりひとり?」
結婚生活も落ち着いた頃、高岡が新築祝いがてら遊びに来たのだが、確か彼女と来ると言っていたはずなのに高岡の姿しかない。
「ああ、ごめんな。前に4人で飲もうって約束してたのに。まあ、うん。つい最近、別れた」
「またか」
果夏は昼ごはんを用意していたのだが、俺と高岡が話しているのが聞こえたのか、珈琲を持ってリビングへとやって来た。
「高岡さん、いらっしゃい。ってあれ?」
果夏も高岡がひとりでいることを不思議に思ったのか首を傾げている。
「まあ、いいじゃん。俺もそろそろ結婚考え始めてさ。彼女にそれ言ったら、まだ考えられないって。別に別れる事もなかったんだろうけど、一度ひとりになって色々考えたり、スキルアップする時間も必要かなって思って。ほら、俺高校の時からフリーだったことないし」
「それは殊勝なことで」
「そうだろ? って事で今日は3人で飲もうぜ」
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