季節外れの嵐

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部屋に入ると靴を脱ぎ散らかし、ベッドにダイブした。 実を言うと、私の方も思った以上に酔いが回っていた。 初めての遠出の出張で少し張り切り過ぎていたのかもしれない。 緒方さんが言うように、自分で思っているより疲れていたらしく、それがいつもなら酔わない量でこんな状態のようだ。 それに加えて緒方さんらしからぬ言動に、最後の最後に疲れが二割増し……いやそれ以上に私を疲れさせた。 あれはいったいなんだったのだろう……。 疲れていたのか、 それとも……私に何か話したかったのだろうか。 もしかすると、妊娠のことで奥さんが神経質になっていると言っていたが、緒方さん自身も心配や不安が多いのかもしれない…。 いつも私の方が頼りにしている彼が私にあんな姿を見せるなんて……。 気にはなるが、明日もあるので今夜はゆっくり話す()もない。 それに私自身がこんな状態では聞くにも聞けない。 緒方さん、大丈夫かな……。 彼を心配しつつ、一度ベッドに埋もれた身体は簡単に起こすことができなかった。
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