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「おう、こいつらよく見てみれば、ずいぶんな小男どもじゃ」
「マコトじゃ! こんな連中を使うとは、織田方はよほど人なしと見えるの!」
「敵は敵だ。殺して手柄にしちまおうや! こんな雑魚ども、手柄になるかは知らんがの!」
げらげらげら!
男たちは高笑いを始めた。
明らかにこちらをなめている、嫌な笑い方だった。
その笑い方にカチンときた――のは事実だけど、まあそれはそれとして。
とにかく状況を打破しなければならない。
俺はそっと懐から、手のひらほどの大きさをした『それ』を取り出した。
「おっ、なんだそりゃ?」
3人はいずれも怪訝顔を作る。
『それ』の正体が分からないのだろう。
「ぷ。……へへっ。おい小僧、そりゃもしかして玩具(おもちゃ)か!? ひゃひゃひゃっ!」
「へっへっへ、そんな小っこいモンで、なにをする気じゃ!?」
「おいおい、あまり馬鹿にしてやるなよ。本人は必死なんだからよ!」
ひゃひゃひゃひゃひゃ、と笑いまくる敵兵たち。
そんな彼らを見て、俺もニヤッと笑った。
「そうだな、確かに必死だ。――必ず死ぬ、と書いて必死。うん、この状況にぴったりの言葉だ」
「あん!? なんの話だ?」
「いや、だから。――必ず死ぬんだよ」
今度は笑わずに、……告げた。
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