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けれど私の記憶に微かに残る男の手は、10代や20代の若者のものとは違った気がする。
それにしても……。
誉さんが大吾さんと接触したい理由は、ひとつだ。
やはり楓さんの死に、かつて大吾さんが率いていた暴走族が関係しているのかもしれない。
もしも大吾さんが当事者だったら……。
私はその時、大吾さんと誉さんのどちらを庇うのだろう。
テーブルにポツンと置いてあった缶ビールを手に持ち、窓から誉さんの住むB棟を見つめる。
彼がくれる唯一の約束は……いったいどんな謎を秘めているのだろう。
それでも私は覚悟を決めたはずだ。
この先に何が待ち受けていようとも……。
全てを受け止める強さを持ち続けると。
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