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何か胸騒ぎがしてたまらない。
いくら証拠不十分で起訴されなかったとはいえ、俺の父親は本当にこの事件に関わっていなかったのだろうか。
今思えば、東京からこの街に引っ越したのも、ある日突然のことだった。
母親は「お父さんの仕事の関係と、東京よりは空気がいいから心臓にも負担がないかなと思って」と俺に説明していた。
しかしあの事件の後……。
父親が不起訴になってすぐに、俺達家族はあの街から追放されたんだと思う。
まだガキだった俺にはそれを知る術はなかったけれど、何か大きな力が裏で働いていた気がしてならなかった。
「俺は……肝心なことを見落としているかもしれないな……」
ひとり呟いて思い浮かんだ縮図をノートに書きとめる俺は、確実に22年前の真実へと近づいていた───。
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