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「はっ? 課長、それ、ホントですか?」
「おー! なんかそうらしい。有給消化率を上げたいみたいだな」
……課長、たいした話じゃないじゃんっ!
やっぱり、人事っぽい。
「でも、営業部で有給消化率ってどうやってあげるんだろ?」
「う~ん、まぁ、全員が同じ日に休んだりしないように話し合って暇なときに順番に休むとか……いや、あれだな。長期休暇みたいに順番に連休のが嬉しいなっ! ほら、ハネムーンベイビー休暇みたいな?」
「……」
「それっぽい日さえわかれば、休みだったら励みたいだけ励めるだろ?」
「……」
「狙い撃ちかつ、乱れ撃ち、みたいな?」
「……」
「名案だなぁ。ここは営業課長自ら実践するしかねーなっ! 付き合えよ? これは努力義務ではなくて業務命令だからなっ!」
「えぇっ!?」
営業課長なのっ!!!
「ちぃちゃん、どうした?」
しまった、ついつい、課長とやらのデカい話声というかワンマンショーに聞き入っていてまさかの営業課長発言に驚いてしまった。
目の前で私の驚きに驚くレオ君に対して、どう誤魔化したものか……
「いや、ほら、レオ君の凛々しい眉毛を見ていたら、うっすらと繋がってるみたいに見えて、驚いちゃった」
テヘペロ。
私の苦し紛れの言い訳を聞いて、レオ君が少し悲しげな表情になってしまったから、慌ててフォローした。
「いや、凛々しいなって! 格好いいなって! 男らしいなって思った!!! ジョリジョリされたいっ!!!」
言った瞬間、いや、待てよ、言い過ぎだなと思ったけれども後の祭り。
嬉しそうに微笑んで、照れたような顔をして私の方に顔を寄せて小さな声で
「後からちぃちゃんが止めてっていっても止めないぐらいこすりつけてあげる」
語尾にハートマークでもついていそうなぐらい、声の質が嬉しそうでドキドキした。
こすりつけるのは、眉毛であってるよね?
それとも、ケモチン?
なんか、ドキドキしてきたし、期待でいっぱいだからケモチンの方が嬉しい気がしてきた。
私も小さな声でレオ君にその気持ちを伝える。
「こすりつけるだけじゃなくて……インサートして欲しいな」
目を大きく見開いたレオ君の眼力!
怖いよっ☆
「よし、徹夜だな」
……レオ君の呟きは聞かなかったことにしよう。
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