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「はあ。何で今日も来るんだ?」
「別にいいだろ」
「いいけど。他に食べる友達いるんだろ?」
新入生オリエンテーション以来、隣のクラスの田辺が昼休みに弁当を持って来るようになった。
「いるけど、たまにはいいんだ」
「それじゃあ、大好きな生徒会長様と食べればいいだろ」
「バ、バカなこというな。会長は暇じゃないんだぞ」
真っ赤になりながら田辺は、空いていた隣の席に座った。
「懐かれてんなぁ」
机を俺のにくっつけながら言う川上に、俺は思い切り顔をしかめた。
「そんなんじゃないよ」
「そうだよ。ただ大勢で食べた方が弁当がうまいからだけだ」
田辺は料亭で出されるような豪華な懐石弁当を開けて、ふわふわのだし巻き玉子をパクリと食べた。
「相変わらずすごいな。これお手伝いさんが作るの?」
安藤が話に加わった。川上と二人で食べていた弁当がいつの間にか賑やかになっている。
「あ、山岸も早く来いよ」
川上が叫ぶと、一穂がゆっくりと近づいてくる。
「一穂はここな」
もう一つ椅子を持ってきて俺の隣に置くと、一穂は恥ずかしそうに座った。
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