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「あ、琉斗いた」
若い雌が現れた。
会場にいるほかの雌たちと違って、膨らんでいないドレスを着ている。
この雌も黒髪黒目。
「休憩は終わりよ」
「げー。まあ亜里沙は役に立たなさそうだし夜那にばっかり負担がいくのもな。
じゃあな、ヴァイス。またそのうち会おう」
「うむ。ではな、リュウト。しかしあなたたちが黒き魔法の国にこないかぎり会うことはないと思うがな」
「そうなのか?じゃあ、魔王を倒したあとに黒き魔法の国へいくからその時はよろしくな!」
「ああ」
リュウトと雌はあわただしく去っていった。
わたしは伸びをして呟く。
「さーて、皿の中も空になったことだし、そろそろヴァイスも会場に戻るか」
あまり長い間場を外していては、心配性なツェーザルに説教されるかもしれない。
説教は嫌いだ。
わたしはツェーザルに群がる人間たちが減っていることを祈りながら、歩きはじめた。
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