叶うならどうか、この時間よ永遠に

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小学校生活最後の春。 別々の中学校に行ってしまう、というわけでもないが、最後の思い出にと少年たちは公園に集まる。親に怒られる覚悟で、遅くまで遊ぶのだ。 進級と進学には、それくらいの違いがある。言葉では言い表せないがそれは、新しい学校生活への期待や不安から目を背けるためなのかもしれない。少年たちが本当にそのような考えから集まっているのかは分からないが。 ともかく今日も集まる。昨日も遊んだばかりなのに。 今日は何して遊ぼうか、昨日はゲーセン行ったし、今日は外で遊ぼう。 最初はこの後の行動を決めるための駄弁り合いだったのが、いつの間にか駄弁ることが目的になってしまう。集合してから既に30分経過。大人の感覚で言えば時間の無駄遣いかも知れないが、彼らは違う。無駄のようなこの30分すらも、彼らにとっては楽しいひと時、大事な時間なのだ。 結局近くの駄菓子屋で適当に買い込み、それらを程よく食べたら鬼ごっこをする、という予定に決まったのは集合してから45分経ってからだ。
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