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私が中央競馬を見始めたのは、今からおよそ25年前の事だ。
私はまだ20代前半だった。
宇都宮にも競馬場はあった為、勿論、競馬自体は知っていたが、こう言ってはなんだが、何だか胡散臭くて…まともに中央競馬のレースを見たのは、そのレースが初めてだった。
『典孝。このレースだけちょっと見てみろ。この馬が強いんだ。』
用事があり、外出しようとする私に向かい、4つ上の兄がTV画面を指差す。
そこには、当時現役古馬最強と言われ【白面の王者】と称されていた馬が映っていた。
後に【無敵の兄貴】と言われるビワハヤヒデである。
レースは春のG1シリーズ最終戦…宝塚記念だった。
『え~…競馬~…』
さして興味も無かった私は、そんな風に嫌そうに答えたのだが…
『まぁ、見てろって。すぐ終わるから。』
そう兄貴に勧められ、まぁ急ぎの用事でも無いし…と、仕方なく立ったままレースを見始めた。
前年の菊花賞を制したビワハヤヒデが圧倒的な一番人気のこのレース…ビワハヤヒデはすんなり先団に取り付くと、抜群の手応えで2~3番手を追走する。
『…ちょっと、※カカってんじゃねえの?』
(※=騎手の意に反して行きたがる事)
そんな私の意見にも、兄貴は笑顔で答える。
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