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不審な荷物
時は一月の中頃。風邪の流行も下火となり、比較的穏やかな日常が過ぎていた。
「ランバート、今日は私の部屋で飲むぞ。お前も来るであろう?」
「シウス様、またですか?」
明日は安息日。その前日はなんだかんだと理由をつけてシウスが誘ってくる。最近オスカルが連れないからだろう。
「オスカル様に恋人ができたからって、俺を誘わなくてもいいでしょ」
「別に、そういうことではないわ。それに今日はオスカルも来る」
案外寂しがり屋の上官は、ちょっと拗ねたようにそう言った。
「ファウストも来るであろう?」
隣で夕食を食べているファウストが、嫌な顔をしながらも溜息をつく。この人も付き合いのいい人だから、なんだかんだと拒否しない。
「少しだけなら付き合う」
「良い返事じゃ」
満足そうな顔をしたシウスは、早速今日を楽しみにしている様子だった。
その時、食堂の戸口にオスカルが立った。そして直ぐにランバート達の席に来る。
食事かと思ったけれど、青い瞳がランバートを捕まえたまま動かないのを見るとそうではないようだ。
「ランバート、ちょっといい?」
「はい、なんでしょうか?」
「実は君宛に、大きな荷物が届いたんだけどね。なんだか変だから、中を確かめたいんだ。君も来てくれると助かるんだけど」
「不審物ですか? どこから?」
大きな荷物なんて、なんだろう。そんな物が届く予定なんてないし、勿論ランバートが頼んだ物ではない。首を傾げていると、オスカルは溜息をついた。
「ヒッテルスバッハの家からだよ」
その言葉に、何か嫌なものを感じたのは言うまでもなかった。
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