756人が本棚に入れています
本棚に追加
/215ページ
「いや、呆れてはないよ……ただちょっと驚いてるけど。大日方ってこんなキャラだったんだ、って」
そう、私の知っている大日方は、優しくて情に厚いけど、必ずどこかに冷静さは持っている男子だ。
少なくとも、誰か一人のことを想って、暴走気味なまでに突っ走ることはない。
但し、私が知っている大日方は、厳密に言えば中学時代までの大日方でしかなくて。
あの頃とは違っている部分も多いのかもしれない。それはきっと、これから埋めていくべき空白なのだろう。
例年より気温の高い新緑の季節、暑さを冷ます心地よい風がふわりと夜道に流れ込む。
大日方は、隠しきれない照れからか、頻りに頭を掻きながら早口で話し始めた。
最初のコメントを投稿しよう!