その名を呼べば

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「いや、呆れてはないよ……ただちょっと驚いてるけど。大日方ってこんなキャラだったんだ、って」 そう、私の知っている大日方は、優しくて情に厚いけど、必ずどこかに冷静さは持っている男子だ。 少なくとも、誰か一人のことを想って、暴走気味なまでに突っ走ることはない。 但し、私が知っている大日方は、厳密に言えば中学時代までの大日方でしかなくて。 あの頃とは違っている部分も多いのかもしれない。それはきっと、これから埋めていくべき空白なのだろう。 例年より気温の高い新緑の季節、暑さを冷ます心地よい風がふわりと夜道に流れ込む。 大日方は、隠しきれない照れからか、頻りに頭を掻きながら早口で話し始めた。
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