4 「キスは二度目のデートで」とか言うやつの気が知れない

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※※※ 「返ってこないね。LINE」 「まあ、そりゃそうだろうな」 さっきからずっと部室のまん中の長机に突っ伏しているかと思うと、思い出したかのようにスマホをチェックするという行為を繰り返していた優奈が、こちらに身を向けながら唇を尖らせる。 さっき優奈が「JRC」グループを通して、漆崎に謝罪のメッセージを入れたが、返事どころか既読さえ一向につく様子がない。まあ、俺が漆崎の立場だったらしばらくは見たくないだろうな。 「やっぱ、ウザかったのかな?私たちがやってたことって」 うつむき加減に机をジッと見つめながら優奈がそんなことを言う。 「そんなことないだろ」 「そうかな。もしかしたらちょっと押しつけがましいって思われたのかも…」 「漆崎はそんなこと思わないだろ」 「…うん」 先生に怒られた小学生みたいに、しょんぼりと肩を落とす彼女の姿は、何ともいたたまれない。 ふと、もう一人の方に目を向けると、これも明らかにいつも通りの様子ではないし。 「おい、白河」 「…何かしら」 彼女はこちらに視線を合わせることなく、ただただ椅子に座って宙を眺めていた。 彼女はいつでも何かをしている。それが読書であったり会話であったり尾行であったりすることはあるけれど、今ほど彼女の動きがストップしている様子を俺は初めて見たかもしれない。 「大丈夫か?ずいぶんと真っ青な顔してるけど」 白河がふぅと一つ息を吐く。
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